『小林多喜二日記』1927年7月8日 (第62回)

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https://youtu.be/qbNGNu-bfmI

前の日記から少し間が空いている理由は、多喜二がこの時すごく忙しかったからのようです
調べてみるとこの頃の多喜二は、小樽港湾争議に参加し、銀行の仕事が終わるとビラの製作を手伝っていたそうです *1,*2

★  今回出てくる人の人名、名称、作品名 [ ] 内は日記中の表記

[反デューリング論] / 1878年 フリードリッヒ・エンゲルス著  この日記の第59回(1927年6月2日)では「六百頁のものだ。一気に読まねばなるまい」と書いています


河上肇 / 1879年〜1946年 経済学者 マルクス主義の研究者 多喜二の亡くなった同年1933年に治安維持法違反で収監されています 著作は多数あり、『資本論』の翻訳でも知られています 共産党へ入党した後『赤旗』の編集にも関わっています  


社会問題研究 /  河上肇著  1925年 同人社書店  この日記の第55回(1927年4月10日)にも登場します 


福本和夫 / 1894年〜1983年 日本の経済学者、思想家 日本共産党の幹部など  共産党内外、また周辺への影響力は当時大きく、その理論は「福本イズム」と呼ばれているようです 
この多喜二の日記では1927年からたびたび登場しています


[レーニンのゴールキーへの手紙]  / ゴーリキィへの手紙  1927年 白揚社  多喜二が読んだのはこれかもしれません 
1935年(昭和10年)に、中野重治の訳で岩波文庫から再出版されていますが、こちらは1938年(昭和13年)そのほかのレーニン、マルクス、ローザルクセンブルク、エンゲルス、カウツキーらの著作と同様に増刷中止、2年後に発禁処分となったようです

道草  小説 / 夏目漱石作 1915年  この作品は青空文庫で読む事ができます
https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/783_14967.html


浚渫船  小説 / 葉山嘉樹作 1926年  こちらも青空文庫で読む事ができます
https://www.aozora.gr.jp/cards/000031/files/2844_38056.html


[ビュ・ビュ・ドウ・モンパルナツス] / 『ビュビュ・ド・モンパルナス』  小説 /シャルル=ルイ・フィリップ作 1901年に発表された短編小説 
この日記の第1回(1926年5月26日), 第14回(1926年8月15日)、第43回(1927年2月16日)、第44回(1927年3月2日夜)、第53回(1927年3月20日) にも登場する、多喜二が度々触れる作品のひとつです


ヤーマ(魔窟)/ アレクサンドル・クープリン作  1923年   この日記の第44回(1927年3月2日)にもちょっと出てくる作品です 
デジタル国会図書館でよむことができます
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/978039

ドストエフスキー / フョードル・ドストエフスキー  1821年〜1881年  ロシアの作家、思想家  多喜二の日記にはなんども名前がでてくる作家 
“超人思想” ”汎愛思想”などについて参考とする作家のひとりです(第14回)  特に『罪と罰』については 第20回(1926年9月15日)の日記に詳しく触れています 

罪と罰  /  小説  フョードル・ドストエフスキー作 1866年 


[カラマゾフの兄弟] 小説 /『カラマゾーフの兄弟』 フョードル・ドストエフスキー作 1880年


[チエホフ] / アントン・チェーホフ  1860年〜1904年  ロシアの作家  この日記にチェーホフはたびたび登場します  第3回(1926年5月29日)、第14回(1926年8月15日)、第16回(1926年8月28日)、第17回(1926年8月31日)、第21回(1926年9月19日)、第31回(1926年10月18日)、第53回(1927年3月20日) などなど。これ以外にも日記に出てくる作家です


[發作] / アントン・チェーホフ作  当時の多喜二が手にした本は不明なのですが いまだと1960年・1968年 チェーホフ全集 中央公論社、1987年 チェーホフ全集 筑摩書房 などに入っているようです


工藤誠吉 / 北海道拓殖銀行の同僚のようです この工藤さんの住んでいたすぐ近くにいわゆる売春窟があったらしいです 


[山科の記憶] /山科之記憶  志賀直哉作  1927年 改造社  もしかしたらこれを多喜二は読んだかもしれません 
調べたなかで一番古かったのが国会図書館のある本で、多喜二の生前に出版されています    
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1192884


レーニン / ウラジーミル・レーニン 1870年〜1924年  ロシアの政治家、革命家  ロシア革命の主導者 ソビエト連邦、ソ連共産党の初代の最高指導者


[唯物論と經驗批判論] /  1908年 ウラジーミル・レーニン著 


デボーリン / (Abram Moiseevich Deborin) 1881年‐1963年  ソ連の哲学者 「マルクス主義の旗の下に」誌の編集責任者 著作に「弁証法的唯物論哲学入門」「弁証法と自然科学」など
この日記の第55回(1927年4月10日)で2冊の本の感想を短く書きとめています。「レーニンの弁証法」は「いい本だ」といい、二回読了したと書いています


室蘭 / 小樽市から車で行っても約147~166キロ、いま電車で行っても3時間はかかるところです

札幌 / 小樽市から車で約35~37キロ、いまの電車で1時間ほどです

[ T ] / 田口タキさんのこと

[ M ] / おそらく「Mother」の略、田口タキさんの母親のことのようです

[ sis ] / おそらく「sister」の略、タキさんの妹さんのこと

[ I ] /  文脈からこれは多喜二のこと


*1 「小林多喜二とその周圏」小笠原克著 翰林書房 1998年 
*2 「小林多喜二」 手塚英孝 新日本出版社 2008年 

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