『小林多喜二日記』1927年5月8日 (第58回) 

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YouTubeにもあります こちらから
https://youtu.be/E9-Pc6WSxHo



今回は盛りだくさんの内容です
講演のため小樽へ来訪した芥川龍之介、里見弴両氏を迎えての多喜二たちの歓送迎会 
田口タキさんとのこと、出版社へ送った作品のこと、地元新聞に掲載される随筆のことなどなど
数日分の内容なので 文章も少し長めです 


★  今回出てくる人の人名、名称、作品名 [ ] 内は日記中の表記

定山渓 / 札幌市南区にある定山渓温泉のことかと思われます いまは速い電車に乗ると小樽から1時間30分ほどで着いてしまいますが、特別なものに乗らずに行くと片道3時間くらいかかるようです  


[トマス・ハアディ] / トーマス・ハーディ  1840年〜1928年  小説家 詩人 前回(第57回)でも作品について触れています


[気休め][夢の呪][悲しみの軽騎兵][つかね髪][幻の女][アリシアの日記][市の人々][變り果てた男][千八百四年の傳説][其夜の晩餐] /  トマス・ハーディ作  1926年 森田書店 「ハーディ短編全集 第一輯」のなかに収録されています


[エターナル・プロブレム] / 小林多喜二作  前回(第57回)も出てきた作品  『父の危篤』をEternal problem と改題したと書いています


[經濟學批判序説にあらはれたるマルクス自身の藝術観について]/ 詳細不明


[文藝戰線][文戰]/ 1920年頃に発刊されていたプロレタリア文学誌  『種蒔く人』の廃刊のあとを受ける形で発刊された雑誌のようです この日記には度々登場する名前です  


アレクセイ・ガン/ ロシア構成主義の中心メンバーのひとり  1921年の新経済政策(ネップ)後
構成主義に大きな影響を与えた人のようです 


[構成主義藝術論] / 多喜二の読んだものとは違うのですが  「構成主義芸術論」アレクセイ・ガン 作 1930年金星堂   黒田辰男訳で出版されています 



プレハーノフ / ゲオルギー・プレハーノフ 1856年12月11日〜1918年5月30日  ロシアの社会主義者 


[藝術と社会生活]/  ゲオルギー・プレハーノフ 著   当時多喜二の読んだものはわかりません 『芸術と社会生活:他一篇 』 1965年 岩波書店 に収録されているようです


[福本和夫] / 1894年〜1983年 日本の経済学者、思想家 日本共産党の幹部など  共産党内外周辺への影響力は大きく、その理論は「福本イズム」と呼ばれている
最近この日記によく登場する人です   


[唯物史観と中間史観] / 唯物史観と中間派史観 福本和夫  1926年 希望閣


阿部次郎 / 哲学者 1983 ~1956  1914年に出版した「三太郎の日記」は当時ベストセラーとなったそうです 


[美學] / 阿部二郎作 1927年  複数ある全集に収められています 
国会図書館デジタルコレクションで 1917年に出版された岩波書店の作品が公開されています
http://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/953343


ルナチャルスキー /  アナトリー・ルナチャルスキー  1875年〜1933年  旧ソ連の芸術学者、文芸批評家、劇作家、政治家  ロシア革命後の新文化建設を指導し、革命と文化の関係について幅広い評論活動をする。評論「文学的シルエット」「マルクス主義芸術論」「革命のシルエット」戯曲「解放されたドン=キホーテ」 など


[ルナチャルスキーの藝術論]/  調べてみたのですが本のタイトルでは調べられず、多喜二の読みたいものがどの本だったのか よくわかりません   


[KATAOKA] / 「ブルジョワ意識一杯で」という記述と、わざわざローマ字に変えていることも頼りに調べてみたのですが特定できず わかりません💦 


チャップリン / チャールズ・チャップリン 1889年 〜 1977年 映画監督 映画俳優、コメディアン、脚本家、映画プロデューサー、自身の映画音楽の作曲も手がけている
この日記の 第35回(1926年11月7日) 第42回 (1927年2月7日)にも登場しています 


芥川龍之介 / 小説家 1892年〜1927年  この来訪の約二ヶ月後に亡くなります


里見弴/ 小説家 1888年〜1983年   第18回(1926年9月5日) 、第40回 (1926年12月5日)にも登場していて 多喜二は里見弴作「俄かあれ」を傑作だと書いています
この歓送迎会での多喜二は里見弴に志賀直哉のことばかり聞いていたそうです (*1)


[新中島]/ 小樽妙見町にあった料理屋  調べてみたのですが詳細がわかりません 読み方もわからなかったので朗読では「シンナカシマ」と読んでいます


フォイエルバッハ論/前回(第57回)にも出てきています  
1925年に出版された本があり、国会図書館で読むことができます
http://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/983504


[その出發を出發した女]  小説/ 小林多喜二作 多喜二が初めて書いた長編小説 完成できず中断  富士出版の小林多喜二全集(1952年)の巻末の解題に友人の島田正策氏の談話があり それによると執筆の動機の一つに田口タキさんの生活援助が含まれていたそうです 


十三の南京玉 / 多喜二はこの『十三の南京玉』について詳しくタキさんへ手紙を書いています (*2)
『白樺文学館』サイトでも紹介されています  →多喜二を読む → 新聞紙面から追う多喜二の足跡 → 月曜文藝 十三の南京玉


北方文藝 / 小樽高商の大学新聞「緑丘」にあったもののようです 


[田口の姉との記憶] / 田口の「姉との記憶」 北方文藝 小樽高商文藝會発行 1927年6月に掲載  1930年作『同志田口の感傷』はこの改作だそうです


[椎名教授][高橋佛語教授] / 詳細不明です


*1 「小林多喜二とその周圏」小笠原克著 翰林書房 1998年 
*2 「小林多喜二の手紙」 荻野富士夫編 岩波文庫 2009年 

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