『小林多喜二日記』1926年12月19日(第41回) 

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https://youtu.be/_NWAuzoIFfo


この日で1926年の日記は終わり。来年までしばらく間が開きます
それを意識していたのでしょうか
今日の日記の閉じ方が なんとも心に残ってしまう日です 

そして今日も、登場する人、作品は盛りだくさんです




   ★ 今回登場する雑誌名 [ ]内は日記中の表記

「文芸市場」/ 詳細不明  梅原北明(1901~1946)の主催した雑誌のようです この人は野坂昭如の『好色の魂』のモデルとも言われているようです


   ★ 今回登場する作品名 [ ]内は日記中の表記

『煽動』/ 新井紀一作   「雨の八号室:創作集」紅玉堂書店1923年  国立国会図書館デジタルコレクションで読むことができます
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/982534
  
『或る機械』/ 細井和喜蔵作  作品は 『無限の鐘』 1925年 改造社 2002年 本の友社 、『細井和喜蔵全集』第4巻 1956年 細井和喜蔵全集刊行会・女工哀史記念会  藤森成吉解説 、雨の日文庫 第6集18 麦書房 1971年 などで読めるようです


『淫売婦』/ 葉山嘉樹作 1926年出版:春陽堂『淫売婦』 青空文庫に収録されています
http://www.aozora.gr.jp/cards/000031/files/397_21662.html  


『火事の夜まで』 /  今野賢三作  1922年頃   


『客』  / 井東憲作   詳細不明


『泥溝』 小説/ 伊藤永之介作  1924年 『文芸戦線』9月創作号 文芸戦線社 に掲載されています


『犬喧嘩』/ 金子洋文作  金子洋文短編小説選  冬至書房 2009年に収録されているようです 


『赤い馬車』/ 前田河広一郎作   1923年   国会図書館デジタルコレクションで読めます
http://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/978032


『煉炭にかぶれる』/ 關下一郎作  現代日本小説大系 第40巻 (プロレタリア文学 第1) 河出書房 1951年に収録


『泥棒龜とその仲間』/ 山川亮作  現代日本小説大系 第40巻 (プロレタリア文学 第1) 河出書房 1951年に収録


[チエルカツシュ] /  マクシム・ゴーリキー作  1895年 ゴーリキー初期の最も有名な代表作  
 この日記の第21回(1926年9月19日)で 多喜二はこの作品の最初の描写を「名文」と書いています 



『車の踊』 / 藤井真澄作 戯曲か小説かわかりませんでした 書かれた年も不明ですが 1923年(大正12年)7月号の『時事新報』の文芸欄で取り上げられています。文芸欄を担当した当時の文芸部主任は、佐佐木茂策

 

『海に生くる人々』 /葉山嘉樹作 1926年 改造社より出版  青空文庫でも読むことができます 
http://www.aozora.gr.jp/cards/000031/files/863_22418.html

 
『近世社会思想史大要』[近世社會思想大要]/ 小泉信三 著 1926年 岩波書店   国立国会図書館デジタルコレクションで読むことができます
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/980901  



 ★ 今回登場する人物、作家名 [ ]内は日記中の表記

「相田」  / 詳細不明です ここでは“アイダ”と読んでいますがショウダさんかもしれません 
小樽商業学校の同窓生で北海道銀行に勤めていた石本武明氏へ1921年に送ったはがきが残っていて、その宛先に「相田方」とあります。住所は小樽区です (参考資料:小林多喜二の手紙 荻野富士夫編 岩波文庫) 


「新井紀一」/ 1890年〜1966年  日本の小説家 反軍小説、労働者文学とも言われる作品を発表 代表作とされるのは 「友を売る」「怒れる高村軍曹」  多喜二は 第37回(1926年11月20日)で東京でなにかを新井紀一へ頼んでいたようなことを書いている  


「細井和喜蔵」 / 1987年〜1925年 『女工哀史』の著者   
他 奴隷 工場 死と生と一緒 親 どん底生活と文学の芽生え 発明恐怖の頃 愛のテロリスト 女給 労働街の文学者 或る女工の手記 地獄で笑う女の手記  など がある


「葉山嘉樹」/ 作家  1984年〜1945年 プロレタリア文学の作家  
この日記には何度も登場しています(15回、18回、21回、40回)
前回の第40回(12/5)の回では 「期待してゐた葉山嘉樹氏の「海に生くる人々」を読んだ」と書いています

「今野賢三」 / 作家  1893年〜1969年  プロレタリア文学の作家  雑誌『種蒔く人』の創刊に関わる  文芸戦線同人 


「井東憲」/  作家  1895年頃〜1945年頃  文藝市場の編集に関わっていたらしい 


「伊藤永之介」/ 作家  1903年〜1959年  雑誌「文芸戦線」に評論、作品など発表  戦後は映画化された『警察日記』の他、芥川賞の候補になったという『梟』がある その他 『売春婦』『鶯』『平田篤胤』『五郎ぎつね』 農民文学、童話などの作品を残している
 

「金子洋文」 / プロレタリア文学の作家 1893年〜1969年   雑誌 『種蒔く人』の創刊 その後『文藝戦線』を創刊  日本社会党参議議員 (1947年)  
作品は 生ける武者小路実篤 蝶と花との対話 お伽理科 地獄 投げ棄てられた指輪 鷗 チョコレート兵隊さん 理髪師 銃火 飛ぶ唄 魚河岸 部落と金解禁 狐 父と子 白梅記 はたらく日記 菊あかり 白い未亡人  廃兵をのせた赤電車 痩せて蒼い顔をした夫 など
 


「前田河廣一郎」 / 作家 1888年〜1957年  日本のプロレタリア文学の作家  この日記のなかに(1926年9月19日(第21回))書いている通り、多喜二が当時意識していた作家のひとり  多喜二が主催していた雑誌『クラルテ』には前田河廣一郎から送られた「“雑誌「クラルテ」宛”」が掲載されている


「關下一郎」/  調べたのですが わかりませんでした


「山川亮」 / 作家 1887年〜1957年  雑誌『種蒔く人』同人  
  

「藤井真澄」 / 劇作家 1889年〜1962年  労働文学を中心とした雑誌「黒煙」を主宰し、戯曲作品を発表。日記にある『車の踊』がこの作家の作品か確認できていないのですが、同時代の同姓同名がみつからなかったため、憶測ですが載せています


「小泉信三」/ 経済学者  1888年〜1966年  『近世社會思想大要』 ほか「共産主義批判の常識」など  戦時中「出陣学徒壮行早慶戦」など 戦争による野球弾圧について反対の立場から多くの力を尽くしていた方のようです  1976年に野球殿堂入り


[ T ] / 田口瀧子、田口タキのこと?  前回(第40回)同様、名前をイニシャルで書いているようです 1926年6月10日(第7回) でも 昔の彼女のことをイニシャルで書いていました  このあとの日記にもイニシャル表記の人が出てきます



 
   ★ 今回登場する言葉

[湯上りのような気分] / 第7回(1926年6月10日)の説明で軽く触れていますが、多喜二の「湯上り」は三ヶ月に一度しかやってきません。
またこのお風呂に付き合われた友人が、この日記にも度々登場する「武田暹 (たけだ すすむ) 」なのだそうです。(参考資料:『小林多喜二』ノーマ・フィールド著 岩波書店) 




   ★ 今回登場する施設名

「電気館」 / 映画館のこと 当時地名のあとに「…電気館」とつけることが多かったようで、当時の小樽市にも「電気館」はあった 

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